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無呼吸症候群セルフチェック【症状10項目】いびき・眠気は危険信号?

コラム

睡眠中に何度も呼吸が止まり、体や脳に深刻なダメージを与える「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」。単なる寝不足や疲れと見過ごされがちですが、放置すると重大な合併症を招く危険があります。日常のパフォーマンス維持や健康管理のためにも、まずは自身の状態を知ることが大切です。

もしかして…?こんな症状に心当たりはありませんか?

夜間の大きないびきや、日中の我慢できないほどの眠気は、単なる疲労のせいではないかもしれません。配偶者から睡眠中に呼吸が止まっていると指摘されたり、十分寝たはずなのに朝から体がだるかったりする場合、それは睡眠時無呼吸症候群の兆候の可能性があります。仕事や日常生活に悪影響が及ぶ前に、まずは現状を把握しましょう。

まずはセルフチェック!睡眠時無呼吸症候群の可能性をチェックしよう【症状10項目】

睡眠時無呼吸症候群のリスクを客観的に把握するために、睡眠中、日中、そして体型や生活習慣に関する10の代表的なセルフチェック項目を用意しました。ご自身やご家族の様子を思い浮かべながら確認してみましょう。

睡眠中の症状

睡眠中の状態は自分自身では気づきにくいため、家族からの客観的な指摘が非常に重要な手がかりになります。

  • 家族から大きないびきをかいていると言われる
  • 睡眠中に呼吸が止まっている、または息苦しそうにしていると指摘されたことがある
  • 寝汗をよくかく、または夜中に何度も目が覚める

日中の症状

しっかり睡眠時間を確保したはずなのに、日中に以下のような身体の不調を感じる場合は注意が必要です。

  • 朝起きた時に頭痛がする、または体が重くすっきりしない
  • 日中に強い眠気があり、会議中や運転中にも居眠りしそうになる
  • 集中力が続かない、仕事でのミスや物忘れが増えた
  • 常に体がだるく、慢性的な疲労感が抜けない

体型・生活習慣

身体的な特徴や日頃の生活習慣も、気道が狭まりやすくなる要因として深く関係しています。

  • ここ数年で急激に体重が増え、首のまわりに脂肪がついた
  • 高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病を患っている
  • 日常的に口呼吸をしており、喉が渇きやすい、または就寝前に飲酒をする習慣がある

セルフチェックの結果の見方

当てはまる項目が多いほど、睡眠時無呼吸症候群の可能性が高まります。特に睡眠中の症状に心当たりがある場合や、日中の強い眠気によって業務に支障が出ている場合は、早期の専門受診が推奨されます。なお、日中の眠気についてはエプワース眠気尺度(ESS)という世界的な評価基準もあり、合計点が11点以上になると病気の疑いが強まるとされています。本チェックは自己評価ツールであり医学的診断ではないため、気になる症状がある場合は速やかに医療機関を受診してください。

【危険信号】チェック項目でわかる!睡眠時無呼吸症候群のサインを徹底解説

セルフチェックの各項目には、睡眠の質が低下していることを示す明確な理由があります。それぞれのサインがなぜ危険信号となるのか、その背景を詳しく解説します。

大きないびきをかく・睡眠中に呼吸が止まっていると指摘された

いびきは、睡眠中に空気の通り道である気道が狭くなり、そこを空気が通るときに喉の粘膜が振動して発生する音です。いびきが突然止まり、その後に急に息を吹き返すような状態は、完全に気道が塞がって一時的に窒息している状態を示します。これを一晩に何度も繰り返すことで脳が覚醒し、深い睡眠が妨げられます。

日中に強い眠気がある・集中力が続かない

夜間に何度も呼吸が止まると、体内は深刻な酸素不足に陥ります。脳は酸素不足を補うために、寝ている間も何度も覚醒信号を送り、本人が自覚していなくても睡眠は細切れになっています。このため、何時間ベッドに入っていても脳が休まらず、日中の極度の眠気や集中力の著しい低下、意思決定力の減退を招くのです。

朝起きた時に頭痛やだるさがある

夜間の無呼吸によって血中の酸素濃度が下がると、二酸化炭素が体内に蓄積します。これにより脳の血管が拡張し、起床時のズキズキとした激しい頭痛を引き起こすことがあります。また、睡眠中に体が酸素不足と戦い続けているため、朝起きた時に十分休まった感覚が得られず、強い倦怠感が残ります。

夜中に何度も目が覚める・トイレに行く回数が多い

無呼吸状態になると、胸腔内の圧力が変化して心臓への負担が増します。心臓は負担を和らげるために尿を排泄させようとするホルモンを分泌するため、夜間の頻尿を引き起こします。また、酸素不足による交感神経の緊張から眠りが浅くなり、夜中に何度も目が覚める中途覚醒の原因になります。

肥満気味である・高血圧や糖尿病などの生活習慣病がある

肥満によって首や喉のまわりに脂肪がつくと、気道が物理的に狭くなり無呼吸のリスクが劇的に高まります。また、無呼吸によるストレスは交感神経を過剰に刺激し、血圧や血糖値を上昇させます。このため、高血圧や糖尿病といった生活習慣病を合併しやすくなり、一度合併すると薬が効きにくくなることも知られています。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?放置するリスクと原因

睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)は、単に睡眠中に呼吸が止まるだけの病気ではありません。全身の血管や臓器に深刻なダメージを与え続ける、極めてリスクの高い病態です。

なぜ呼吸が止まる?睡眠時無呼吸症候群のメカニズム

医学的な定義では、睡眠中に10秒以上の呼吸停止または低呼吸が1時間に5回以上起こる、または7時間の睡眠で30回以上起こる状態を指します。最も頻度の高い閉塞性睡眠時無呼吸症候群では、睡眠中に喉の筋肉が緩み、舌の付け根が下がって気道を完全に塞いでしまうことで発生します。あごが小さい、首が太くて短い、口呼吸の癖がある、鼻詰まりや鼻炎などの鼻腔通気障害があるといった特徴も、気道を狭める一因です。

放置は命に関わることも。高血圧・心疾患・脳卒中などの合併症リスク

睡眠中の酸素不足は、一晩に何度も低酸素・無酸素状態を繰り返すため、血管に強いストレスを与えて動脈硬化を急速に悪化させます。1時間に20回以上の無呼吸を8年間放置すると、患者100人中37人が死亡するという深刻なデータも報告されています。狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血といった命に直結する脳卒中などの病気を発症するリスクを大幅に引き上げます。脳卒中では命は助かっても半身麻痺や言語障害などの重篤な後遺症が残ることが少なくありません。

日中の眠気が引き起こす交通事故や労働災害

睡眠時無呼吸症候群による日中の眠気は、単なる寝不足のレベルを超え、運転中や仕事中にも突然強烈な睡魔に襲われる危険があります。これが車の運転中に起きれば重大な交通事故につながり、工場の機械操作や建設現場などでの重篤な労働災害を引き起こすリスクも高まります。自分だけでなく周囲の命をも危険にさらす社会的影響の大きい問題です。

セルフチェックで気になったら?受診から検査・診断までの流れ

セルフチェックの結果から受診の必要性を感じても、具体的にどのような流れになるかが分からず躊躇してしまうこともあるでしょう。受診から診断までの大まかな手順を解説します。

何科を受診すればいい?

睡眠時無呼吸症候群の疑いがある場合、呼吸器内科、循環器内科、耳鼻咽喉科、または睡眠外来を設置している専門のクリニックを受診するのが一般的です。最近では、かかりつけの内科でもSASの診療に対応しているところが増えています。まずは最寄りの病院のホームページなどで睡眠外来やSAS対応の有無を確認してみましょう。

自宅でできる「簡易検査」で気軽にチェック

最初の受診後、多くは自宅で行える簡易検査が実施されます。医療機関から検査機器を借り、就寝前に鼻と指にセンサーを装着して寝るだけの非常に簡単な検査です。寝ている間の無呼吸の回数や、血中酸素の状態を調べることができ、入院の必要がないため仕事を休まずに普段通りの環境で検査を受けられます。

より詳しく調べる「終夜睡眠ポリグラフ(PSG)検査」

簡易検査の結果、さらに詳細な解析が必要と判断された場合は、精密検査である終夜睡眠ポリグラフ(PSG)検査を行います。医療機関に一晩入院し、脳波や呼吸、筋肉の動きを測定する各種センサーを装着して眠ることで、睡眠の質や呼吸停止が身体に与えている影響を総合的に詳しく解析することができます。

検査にかかる費用や期間の目安

簡易検査にかかる費用は保険適用で約2,000円から3,000円程度です。精密検査であるPSG検査は、1泊の入院費を含めて約1万円から2万円程度(個室代や病院の体制により異なる)が目安です。受診から検査、解析を経て診断が確定し、具体的な治療方針が決まるまでには、概ね2週間から1ヶ月程度の期間を要します。

睡眠時無呼吸症候群の治療法とは?

睡眠時無呼吸症候群と診断された場合、その重症度や原因に合わせて様々な治療法が選択されます。代表的な治療方法を紹介します。

CPAP(シーパップ)療法

中等症から重症の患者に対して最も推奨されるのがCPAP療法(持続陽圧呼吸療法)です。CPAP装置に繋がったマスクを鼻に装着して寝ながら、睡眠中に一定の圧で空気を送り込むことで気道が塞がることを予防します。多くの研究により、睡眠時無呼吸症候群による心筋梗塞や脳卒中などの重篤な合併症の発症率を大幅に下げる効果が実証されています。

マウスピースによる治療

軽症から中等症の患者に有効なのが、歯科医院で作製する専用マウスピース治療です。下あごを4〜10ミリ程度前に出した状態で固定し、舌の付け根が落ち込んで気道を塞いでしまうことを予防します。持ち運びが容易で手軽に使用できますが、重症の睡眠時無呼吸症候群の患者に対してはCPAPほどの高い効果は期待できません。

外科手術という選択肢

扁桃腺やアデノイド、軟口蓋(喉の奥の柔らかい部分)が物理的に気道を塞いでいることが無呼吸の原因である場合、外科手術を選択することがあります。気道を狭めている組織を切除・形成することで気道を広くし、症状を根本的に改善します。特に小児の睡眠時無呼吸症候群において高い効果を発揮します。

治療の基本となる生活習慣の改善(減量・禁酒・禁煙など)

医療的な治療と並行して、生活習慣の改善に取り組むことが極めて重要です。特に肥満はリスクを高める最大の要因であり、脂肪が首の周囲に付くことで気道が狭くなります。肥満の解消(減量)は無呼吸症候群の改善に大きく貢献します。また、アルコールは喉の筋肉を弛緩させて症状を悪化させるため、就寝前の飲酒は避け、喫煙も喉の炎症を引き起こすため控えるべきです。

睡眠時無呼吸症候群に関するよくある質問

睡眠時無呼吸症候群について、特に多く寄せられる疑問について回答します。

Q. 一人暮らしでも無呼吸に気づく方法はありますか?

一人暮らしの場合は他者からの指摘を受けられないため、スマートフォンのいびき録音アプリや、睡眠状態を記録できるスマートウォッチなどのウェアラブルデバイスの活用が有効です。また、朝起きた時に口が異常に乾いている、頭痛やだるさが抜けない、日中の強い眠気があるといった症状自体が重要なサインになります。

Q. 痩せている人は無関係ですか?

痩せているからといって無関係ではありません。日本人は欧米人と比較して、骨格的にあごが小さい、あるいはあごが引っ込んでいる特徴があります。そのため、肥満でなくても舌が後ろに落ち込みやすく、気道が塞がって無呼吸症候群を発症することが珍しくありません。体型に関わらず症状に心当たりがあれば検査を検討してください。

Q. CPAP治療はいつまで続ければよいですか?

CPAP治療は睡眠中の無呼吸を物理的に防ぐ対症療法であるため、原則として治療を継続する必要があります。ただし、並行して減量などの生活習慣改善を徹底し、無呼吸の根本的な原因(肥満など)が解消された場合には、再検査によって無呼吸が改善したと診断されれば、CPAP治療を終了できることもあります。

まとめ:いびきや眠気は身体からのSOSサイン。気になる症状は専門医に相談を

睡眠中の大きないびきや日中の耐え難い眠気は、日々のパフォーマンスを落とすだけでなく、心臓や血管の重大な病気を引き起こす手前の身体からのSOSサインです。日々の忙しさから「ただの疲れ」と放置してしまいがちですが、まずは今回紹介した症状10項目のセルフチェックを家族と一緒に振り返り、自分の状態を客観的に見つめ直すきっかけにしてください。健康な毎日と安全な暮らしを守るために、不安な症状がある場合はぜひ早めに専門医へ相談しましょう。

医師情報 / DOCTOR
川越ひさいクリニック 院長 久井 宏真

川越ひさいクリニック
院長

久井 宏真

プロフィール

  • 出身医学部:大阪大学医学部
  • 出身地:兵庫県
  • 趣味:ウエイトリフティング

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