【医師監修】睡眠時無呼吸症候群のセルフチェック|放置するリスクは?
日中の強い眠気や、家族から指摘されるいびきに悩んでいませんか。睡眠時無呼吸症候群は、自分自身では気付きにくいものの、放置すると日常生活や健康に重大な影響を及ぼす可能性がある病気です。
もしかして睡眠時無呼吸症候群?まずはセルフチェックで確認
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、眠っている間に症状が現れるため、自分では発見しにくい特徴があります。以下に、睡眠中や起床時、そして日中の様子に関するセルフチェックリストを用意しました。ご自身の状態と照らし合わせてみてください。
睡眠中・起床時の症状チェックリスト
- 家族から「いびきが大きい」「寝ているときに呼吸が止まっている」と指摘される
- 寝ている途中で息苦しさを感じて目が覚めることがある
- 夜間に何度もトイレに起きる(睡眠中の無呼吸によるストレスで心房性ナトリウム利尿ペプチドというホルモンが分泌され、尿量が増えることがあります)
- 朝起きたときに頭が痛い、または口の中がひどく渇いている
日中の症状チェックリスト
- 十分に睡眠時間をとったはずなのに、日中に強い眠気を感じる
- 会議中や運転中、読書中など、静かにしているときに眠り込んでしまう
- 朝から体がだるく、慢性的な疲労感が抜けない
- 集中力や記憶力が低下していると感じる、あるいは仕事の生産性が落ちている
チェック結果の考え方と受診の目安
上記のチェック項目に複数当てはまる場合や、家族から「いびきが大きい」「呼吸が止まっている」と指摘されている場合は、睡眠時無呼吸症候群の疑いがあります。ただし、このセルフチェックは医学的な診断に代わるものではなく、あくまで医療機関を受診すべきか判断するための目安です。少しでも疑いがある場合や、日常生活に支障が出ている場合は、早期に専門の医師による診断を受けることが推奨されます。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とはどんな病気?
睡眠時無呼吸症候群は、心身に大きな負荷をかける睡眠呼吸障害です。どのような病気なのか、その仕組みとタイプを理解しましょう。
睡眠中に無呼吸・低呼吸を繰り返す状態
睡眠時無呼吸症候群は、英語のSleep Apnea Syndromeの頭文字をとって「SAS(サス)」とも呼ばれます。睡眠中に何度も呼吸が止まったり、浅くなったりする病気です。具体的には、10秒以上の呼吸停止である「無呼吸」、または呼吸が弱くなる「低呼吸」が、1時間に5回以上繰り返される状態を指します。これにより脳や体が酸欠状態になり、睡眠の質が著しく低下します。
主な原因と2つのタイプ(閉塞性・中枢性)
この病気には、その発生メカニズムによって「閉塞性」と「中枢性」の2つのタイプがあります。
- 閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS):呼吸をしようとする筋肉の動きはあるものの、空気の通り道である気道が物理的に狭くなったり塞がったりするタイプです。主な原因には、肥満による喉まわりの脂肪沈着、扁桃肥大、下あごの小ささなどがあり、激しいいびきを伴うのが特徴です。
- 中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSAS):気道は塞がっていないにもかかわらず、脳の呼吸中枢から呼吸の指令が正しく出なくなるタイプです。心不全や脳卒中、特定の薬剤の影響などが原因で起こりやすく、このタイプではいびきがあまり見られない特徴があります。
【重要】睡眠時無呼吸症候群を放置するリスク
睡眠不足だけが問題と考えられがちですが、睡眠時無呼吸症候群を治療せず放置することは、全身の重大な疾患につながる危険を孕んでいます。
高血圧・糖尿病などの生活習慣病
無呼吸によって体内の酸素が不足すると、交感神経が緊張して血圧が上昇しやすくなり、高血圧を招きます。また、慢性的な睡眠不足はホルモンの乱れを引き起こし、食欲や代謝を乱して内臓脂肪を増加させます。これがメタボリックシンドロームの原因や悪化因子となり、インスリンの働きを阻害して糖尿病のリスクを高めることが分かっています。
心筋梗塞や脳卒中など命に関わる病気のリスク上昇
毎晩のように繰り返される無呼吸状態は、心臓や血管に過度な負担をかけ、動脈硬化を急速に進行させます。その結果、心筋梗塞や狭心症などの心疾患、脳梗塞や脳出血といった脳卒中など、命に関わる重篤な病気を発症するリスクを高めることが知られています。
日中の眠気による交通事故や労働災害
脳が十分に休まらないため、日中に突発的かつ強烈な眠気に襲われるようになります。これにより、自動車の運転中に居眠りをして重大な交通事故を起こしたり、作業現場での労働災害を引き起こしたりする危険性が増加します。本人だけでなく、周囲の人々の安全を脅かす社会的なリスクにも直結します。
睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合の次のステップ
セルフチェックで疑いが生じた場合、受診を先延ばしにせず、適切な専門機関で検査を受けることが大切です。忙しい日々の中でもスムーズに進められるよう、検査の手順を確認しましょう。
何科を受診すればいい?
まずは呼吸器内科、睡眠外来、あるいは耳鼻咽喉科を標榜している医療機関を受診するのが適切です。どこに行けばよいか迷う場合は、お近くのかかりつけの内科を受診し、専門のクリニックを紹介してもらうのも良い方法です。
医療機関で行われる検査の流れ
検査は一般的に、患者様の体への負担やスケジュールを考慮して、段階を追って行われます。
自宅でできる簡易検査
まずは自宅で行える簡易検査(簡易型アプノモニター検査)が用いられることが多くあります。これは、就寝前に手の指先や鼻に呼吸や血中酸素濃度を測るセンサーを装着し、寝ている間のデータを記録するものです。いつも通り自宅で寝るだけで済むため、平日に仕事がある方でも比較的受けやすいメリットがあります。費用は健康保険が適用される場合、3割負担で数千円程度が目安ですが、正確な費用は検査内容によって変わるため受診時に医療機関へご確認ください。
入院して行う精密検査(ポリソムノグラフィー検査)
簡易検査の結果、さらに詳細な分析が必要と判断された場合には、医療機関に一晩入院してポリソムノグラフィー(PSG)と呼ばれる精密検査を行います。脳波、呼吸、心電図、血中酸素濃度、眼球の動きや筋肉の活動などを総合的に測定し、睡眠時無呼吸症候群の有無や詳細な重症度を診断します。入院が必要になりますが、仕事のスケジュールを調整して受ける価値のある重要な検査です。費用は個室の利用有無などでも異なるため、受診される医療機関へ事前にお尋ねください。
睡眠時無呼吸症候群の主な治療法
診断された重症度や無呼吸のタイプに応じて、適した治療法を決定します。主な治療選択肢には以下のようなものがあります。
CPAP(シーパップ)療法
持続陽圧呼吸療法(CPAP療法)は、睡眠中に鼻や口に装着したマスクから一定の圧力をかけた空気を送り込み、気道を押し広げて開放しておく治療法です。中等度から重度の閉塞性睡眠時無呼吸症候群に非常に高い効果が認められており、無呼吸を大幅に減少させ、心血管合併症の予防や日中の眠気の改善が期待できます。
マウスピース(口腔内装置)
口腔内装具(OA)治療は、睡眠中に専用のマスクピースを装着し、下あごを少し前に出した状態で固定することで気道を広げる方法です。主に軽度から中等度の閉塞性睡眠時無呼吸症候群の治療に有効であり、日本睡眠学会専門医などの診断のもと、連携する歯科医師によって患者様個人に合わせて作製されます。持ち運びが容易なため、出張や旅行が多い方にも適しています。
外科手術
気道を狭くしている原因が、扁桃肥大やあごの骨格的な問題など解剖学的に明らかな場合、手術によってその部位を切除したり広げたりする治療法が検討されることがあります。他の治療法が続けられない場合や、構造的な要因が強い場合に適用されますが、再発の可能性や手術に伴うリスクも考慮し、慎重に決定されます。
生活習慣の改善(減量・禁酒など)
医療的なアプローチと並行して、日々の習慣を改善することが症状の軽減に大きく貢献します。肥満の傾向がある方は減量を行うことで、喉まわりの脂肪が減り気道が広がります。また、アルコールは喉の筋肉を緩めて無呼吸を悪化させるため、就寝前の飲酒は避けることが大切です。その他、禁煙に努めることや、横向きに寝ることで重力による気道の閉塞を防ぐことも有効です。
まとめ
睡眠時無呼吸症候群は、仕事のパフォーマンス低下を招くだけでなく、将来的な生活習慣病や脳卒中といった重大な疾患のリスクを大幅に高める要因となります。セルフチェックで思い当たる症状がある場合は、多忙を理由に先延ばしにせず、呼吸器内科や睡眠外来などの専門医療機関に相談し、快適な睡眠と安全な健康状態を取り戻しましょう。
本記事は一般的な情報の提供を目的としています。詳しい診療内容・費用に関しては当サイトのページをご参照ください
